さて,彼女とのおつき合いの話をしよう。 デートというのはなかなかつらいものがある。 なにしろ,自分の都合に合わせられないのだ。 ジェットコースターに乗ろうと言われたら。 風の強い日に外に行こうと言われたら。 海に行こうと言われたら。 温泉に行きたいと言われたら。 泊まりがけの旅行に行こうと言われたら。 ・・・をする時は。 かつらはいったいどうしたらいい? 風というのは本当に困る。なぜかわかるかい? 風でずれるから。半分当たりだ。 風がいやな理由がもう一つある。 それは,風で乱れた髪を,直すことが難しい,ということだ。 普通の人なら手グシでひょい,というところだろうが,かつらではそうはいかない。 手グシなんかいれようものなら,全体が動いてばれる。 かといって,くしゃくしゃのままにしておくわけにはいかない。 整髪剤で乱れにくいように固めてしまうという予防しかないのだ。 あとは,スキを見て,上から押さえるようにさっと直してしまう早業。 この2つのテクニックを駆使して乗り切る。 ちなみに,ずれそうなほどの強風に対してはどうしたらいいか。 それは「あらかじめ手で,かつらを押さえる」これしかない。 それでは不自然だろうって? そんな時には,強風で目にゴミが入りそうなので,目の上に手をかざして風を防いでいるふうを装えばよい。 かざした手で前毛を押さえるのだ。 これで目が痛いかのように下を向いていれば,たいがいの風は問題なくやり過ごせる。 ジェットコースターはどうしようもない。 一度,大胆にも乗ったことがある。 途中で前がぶわっとめくれたときにはびびった。 前はピン留め,横と後ろは棒に接着剤で留める,という方式だったのだが, ピンが外れたのだ。あわてて手で押さえた。 しかし,ジェットコースターのよいところは,となりに座っている彼女は必ず前を向いているという点だ。 コースの真ん中で横の彼氏を見ている余裕のある子はそれほど多くはない。 だから,少々なにかあっても気付かれない。 もちろん,多人数で行ったら,必ず後ろの席に陣取ること。 前列に座った時にずれたら,後ろからはバレバレである。 |